2010/04/25

近藤ようこの“水鏡綺譚”を。

結構な年数をかけて物語を完結させている関係で、
話を追い進めるにしたがって少しずつ絵は整っていくものの、
それでも決して伝奇向きの絵とは思わない。
けれど、読んでいる内にそんなことは全く気にならなくなった。

それはきっと各エピソードの質が高いからなんだろう。
その時代の一般市民や風俗が(真偽の程はともかくとして)
すんなり納得ができる形で描かれていて、
かつ、主人公たちと対峙する
妖怪・魑魅魍魎も丁寧に表現されている。

ほとんどが対立する物の怪ばかりではあるけれど、
それらのサガもきちんと書かれている。
登場人物の各人もきっちりキャラ立ちがあるし。

で、この物語の終わらせ方に、
この前観てきた映画“時をかける少女”を思い出した。
ヒロインが最後に記憶を失くしてしまうところが、一緒だったから。

人と人との運命というのは永遠の課題なのだろうな。