2007/06/30

時間跳躍と近親愛

ロバート・A・ハインラインの“夏への扉”読了。

DC版“水夏”をプレイしていたところ、
この小説“夏への扉”への言及があったため、購入。

“水夏”は全編やり終わっても
全く胸に打つところが無かったけれど
(テキストが少し雑に感じた。目指すラストは完全に考えているのだけれど、
そこまでへの話の持っていき方や伏線の張り方が、うまくいっていないなぁと)、
こちらの小説のほうは、見事なまでにおもしろかった。

読み終わり、色々調べてみて、
作者がSF界の古典的大御所:ロバート・A・ハインラインと
初めて知った。
確かに、作品としては古臭さを感じる描写は多々あるけれど、
物語の構造がとてもしっかりしているため、
時代を経ても損なわれない良さがあった。

コールドスリープをするまでの物語前半は、
舞台設定や会話の内容がとても庶民的で
1980年代の猥雑としたアメリカの下町っぽいため、
「この本は本当にSF?」と思うぐらいだった。

ただ、中盤に入ってからは伏線が大いに張り巡らされていき、
タイムリープを経て物語後半になってくると、
怒涛の速さでストーリーは収縮していき、
加速度的にラストへと突き進んでいく
すごい緊張感だった。


まぁ、友人の義理の娘と結婚する結末はどうかと思ったけれども、
そんな違和感さえも吹き飛ぶほどのおもしろさでした。