2011/08/21

鴨川ホルモー:万城目 学

今年、綾瀬はるか出演で“プリンセス トヨトミ”も映画化されていた
万城目学(まきめ まなぶ)のデビュー作“鴨川ホルモー”を読んでみた。

この作品だけ読むと、
京大出身で、かつ京都を舞台にした
泥臭くて吹っ切れない若者を描いているので(漫画でいう花沢健吾作品みたいな)、
森見登美彦の著作と似てるなと思ったけど、
なかなか面白かったので(ハッピーエンドだし)
他の作品も読んで、もっと両者を比べてみたいなと思った。

その後に、映画版もDVDを借りて観てみたけれど、
こちらは原作好きにとっては、少し物足りない出来だった。

以下に列挙してみると、
○阿部
・鼻への執着の描写が甘い。
 尺の問題だろうけど、結構原作を端折っているので、
 早良さんの2回目のお泊りも、高村へ鼻に対する想いの告白もない。
○高村
・処女ホルモーの時に失禁させる意味はあったのだろうか。
 その後、勝者である立命館の女の子が
 打ちひしがれる彼をいたわるシーンがあったので、
 てっきりエピローグへの伏線かと思ったら、
 特にラストで彼女になる描写もないし。
○楠木さん
・積極的過ぎる。必要なときにしか前に出てこない子のイメージなので。
・第十七条ホルモーが1回しか開かれていないため、
 「吉田の孔明」の軍師ぶりが見れない。
 三国志のネタがあってこそ、オタク心がくすぐられるのに。
 そして、超絶な采配を振るう描写もないため、
 愛のために恋敵相手に頑張ったのみの人物になってる。
・原作では、エピローグでキノコカットから
 ‘ゆるやかにウェーブのかかった髪’に変身したので、
 栗山千明のウェーブヘアーを楽しみに映画も観ていたのにいたのに、
 ただのロングだった。
○早良さん
・ホントにイヤな感じだけの人になっていた。
 原作では、主人公を恋愛相手としては見ていなくても
 同じチームの一員・同志としては見ていたのに、
 映画では、ただの恋愛の駆け引きの道具としてのみ。
 原作では謝罪も阿部本人にきっぱりしようという姿勢が描写されていて、
 好感が持てる人だったのに。
○その他
・取捨選択されたエピソードが多くあって
 いくつかは不満点に直結するけれど、
 シーンとシーンの間をキチンと置いて撮っていくと、
 尺の問題で仕方ないのかなとは思う。
・CGのオニはO.K.。
 原作でも具体的に説明されているので、ほぼ異なりようがナイとは思うけど、
 見事想像通りだった。
・吉田代替りの儀における‘レナウン娘’の実写が見れたのが一番の収穫。
 ま、予想通りの脱力モノでしたが。