2006/09/17

よしもとばななと瀬尾まいこ

夏季休暇をとり 実家に帰ったとき、
部屋を整理していると
高校時代に買ったよしもとばななの文庫「TUGUMI」
発見,懐かしさとともに読み返していた。

18歳当時はマンガを読み漁っていて、
岡崎京子のコミック「リバーズ・エッジ」
マンガから文学へアプローチした
代表的傑作と強く思っていた。
そのため、逆に
マンガ家になりたかった著者が書いた小説ということで
評判のよしもとばななの作品を読みたくなり
手にしたのが、この「TUGUMI」だった。

実際に「TUGUMI」は、
漢字を抑えたとても軽快な文章
そして、限りなく現実に存在しそうな
少年少女達の織り成す物語があいまって
評判通りの良作だった思う。

一方、瀬尾まいこという作家のエッセイ。
今「ダ・ヴィンチ」という書籍紹介雑誌を
毎月講読しているなか、
もっとも読むのが楽しみなページだ。

1ヶ月に1Pしか連載がないにもかかわらず、
日常生活(瀬尾さんは小学校の先生)を暖かな目線で
描くその文章は非常に魅力的で、
思わず単行本「幸福な食卓」「優しい音楽」まで
読み込んでしまうほどだった。

瀬尾作品は
短いながらも感情の生きたセリフがやりとりされ、
また
主人公・恋人・友人・家族が
僕達の隣人として居ても
おかしくない存在としてえがかれている。

そう
今回「TUGUMI」読み直していて思ったのは、
瀬尾まいこの文章は とてもよしもとばななっぽく、
また、自分は今も昔もこういった軽やかな文章で
紡がれていく物語が好きなんだなぁ
と、いうこと。

物語の切り口は
「TUGUMI」が露骨に深く
であるのに対して、
瀬尾作品は
クスッとした笑いのなかに甘く包んであるので、
読後感は全く異なるんだが…
こういう間口の広さ、好きだな。